この記事では、田所さんがエンジニアとしての視点をどのようにコーチングに活かし、自らの成長へと繋げたかを具体的に紹介します。
問題解決型の思考を持つエンジニアが、どのようにしてコーチングという対人スキルを学び、どんな壁に直面し、そしてどのようにその壁を乗り越えてきたのか?
技術的なアプローチに慣れ親しんだ田所さんが、どのようにして「人」に焦点を当てるコーチングスタイルに変わっていったのか、ぜひご覧ください。
1-パソコン一筋のエンジニアがコーチングに出会うまで
「僕はずっと、パソコン一筋のエンジニアでしたよ。」田所さんはそう振り返ります。
彼のキャリアは、ソフトウェアエンジニアとして始まりました。プログラミングやシステム開発に没頭し、「パソコン以外のことには興味がなかった」というほど、仕事にのめり込んでいました。
エンジニアとしてのスキルを磨き続け、技術的な問題を解決する日々を送っていた彼に、ある日、転機が訪れます。
「2000年頃ですかね。『そろそろ人材育成をやってくれないか?』って言われたんですよ。正直、最初は戸惑いましたよ。人を育てるって、どうやればいいのか分からなかったんです。」
エンジニアとしてのキャリアしか考えていなかった田所さんに、会社から人材育成やマネジメントを任されることになったのです。
「それで色々探してみたら、コーチングって言葉に出会ったんです。正直、当時はただ『部下を動かすための方法』くらいにしか思ってなかったんですけどね。」
しかし、コーチングの世界はそんなに単純ではありませんでした。田所さんは、コーチングの基礎を学んだものの、実際に試してみると「全然うまくいかない」という壁にぶつかります。
部下たちからは「もう結構です」と言われ、焦る日々が続きました。
「それでも、どこかで引っかかってたんですよね。『このままじゃいけない』って。2010年にヘルスコーチジャパンに参加して、本格的にコーチングを学び直すことにしました。」
そこから田所さんのコーチングは大きく変化します。
コーチングが単なるスキルではなく、人との深い関わりを基盤にしたものだと気づき、「目の前の人に本当に興味を持つことが大切なんだ」と実感しました。
「それまでは、成果を出すことばかり気にしてたんです。でも、『相手自身をもっと見なさい』って言われ続けて、それが本当に響いたんですよ。」
この気づきが、彼のコーチングスタイルを大きく変え、やがてプロのコーチとして活動するきっかけとなりました。
コーチングの初期の苦悩
「最初は本当にうまくいかなくてね…」田所さんは語ります。エンジニアとして順調だった彼も、コーチングを始めたばかりの頃は、まったく成果が出ずに悩んでいました。
「傾聴とか承認とか、コーチングの基礎は一応学んだんですけど、部下に試してみても反応が薄いどころか、『もう結構です』なんて言われたこともありました。」
「それでも、なんでかコーチングだけは諦められなかったんですよね。普通のリーダー論や組織論とは違って、人との関わり方そのものが根幹にあるってところが、ずっと引っかかってたんです。」
エンジニアとして問題解決に向かうスタイルをそのままコーチングに持ち込んだ田所さん。しかし、それが部下には逆効果だったのです。
「課題を解決しようとしてばかりで、目の前の人をちゃんと見てなかったんだと思います。自分ではやってるつもりだったけど、部下からは全然響いてなかったんですね。」
それでも諦めずに模索し続ける田所さんは、やがて2010年に大きな転機を迎えることになります。
コーチングスタイルの変化
「2010年、ヘルスコーチジャパンに入ってからですね。そこで初めて『あ、自分がやってきたコーチングは違ったんだ』って気づいたんです。」田所さんは、その時期を振り返ります。
それまで自分が信じていたスキルやテクニックを超えた、もっと深いコーチングの世界に触れた瞬間でした。
「最初は本当に戸惑いましたよ。ずっとテクニックさえ使えば成果が出ると思っていたので、『何やってんの?』って言われた時は、正直ショックでした。」
しかし、このショックが、田所さんに新たな情熱を燃え上がらせるきっかけとなりました。
「火がついたんですよ。そこからは、とにかく自分のやり方を全部見直しました。課題解決じゃなくて、クライアントそのものに興味を持ちなさいって、何度も言われたんです。」
そのフィードバックを受け入れ、田所さんのコーチングスタイルは大きく変わっていきました。
「ある時、気づいたんです。クライアントの話の内容じゃなくて、その人自身に目を向けるようになってから、セッションの質がガラッと変わったんですよね。」
それまでは成果を求めすぎていた田所さんも、次第に「行動変容がすべてじゃない」という考えにシフトしていきました。
「今ではね、クライアントがどんな話をしても、『この人は何を感じているのか』を大事にするようになりました。そこに目を向けた瞬間、コーチングが面白くなってきたんです。」
職場でのコーチングの影響
「会社でもね、コーチングを実践してみたんですよ。でも、最初はうまくいかなかったですね。後輩には『なんで教えてくれないんですか?』って文句を言われたりして…」田所さんは、最初の頃の苦労を振り返ります。
「当時はまだ、自分が先輩として指導することが普通だと思ってたんですよ。だからコーチングって言いながらも、結局は指示したり、答えを与えちゃってたんです。
でもね、ある時、後輩に『この時間、何のためにあるんですか?』って言われたんですよ。あれは効きましたね。」
その言葉がきっかけで、田所さんは本当の意味で「相手に考えさせる」コーチングへと切り替えました。「それからは、答えを教えるんじゃなくて、『君はどう考える?』って聞くようにしたんです。するとね、徐々に部下たちが自分で考えて動くようになったんですよ。」
1on1のコーチングを通じて、職場の雰囲気も変わってきました。
「前はどこか、部下と僕の間に壁があったんですけど、対等な関係になってきて、フィードバックも本音で言い合えるようになったんです。
コーチングを通じて、みんなが自分の意見を言うようになって、職場全体が活気づいた感じでしたね。」
「特に印象的だったのは、以前は指導でぶつかり合ってた後輩が、最後までついてきてくれたことですね。あの時は本当に嬉しかったです。」
2-コーチングを学んで一番良かったこと
「コーチングを学んで本当に良かったと思うのは、自分の体調と向き合えたことですね。」田所さんは、そう語ります。
田所さんはかつて、ソフトウェアエンジニアとしてバリバリ働いていました。仕事が好きで、いつも遅くまでパソコンに向かい、寝る間も惜しんで仕事に没頭していた日々。
その結果、体は悲鳴を上げていました。彼はアトピー性皮膚炎を患っており、特に2010年頃は顔にまで症状が現れ、血が滲むほどの状態でした。
「当時は仕事が楽しくて仕方なかったんです。だから、体調のことなんて気にせず、無限に仕事をしてたんです。でも、ある日ヘルスコーチジャパンで『心の基盤・関係性の基盤・体の基盤』という言葉を聞いて、はっとしたんですよ。」
田所さんは、コーチングの講座で「心の基盤」「関係性の基盤」「体の基盤」という概念に触れました。これまで気にしていなかった「体の基盤」が崩れていることに気づき、思い切って仕事のペースを落としてみることにしたのです。
「最初は『少し休むくらいで変わるのかな?』って半信半疑でしたよ。でも、実際に仕事量を減らしてみたら、驚くほどアトピーの症状が和らいだんです。顔から血が出てたのが、少しずつ収まっていって。今も完全に治ったわけじゃないけど、あの頃に比べたら本当に楽になりました。」
田所さんにとって、コーチングを学ぶことは、ただ部下を育てるためのスキルを身につけることではなく、自分自身の心と体の健康を見つめ直すきっかけでもありました。
「仕事を楽しいと感じるあまり、ストレスが心に溜まることはなかったんです。でも、その分、体に負担がかかっていたんだって気づいたんですよね。コーチングを学んでなかったら、今も無理を続けて、もっと酷いことになっていたかもしれません。」
コーチングが彼にもたらしたのは、ただの技術ではなく、心と体の調和でした。
3-これからやりたいこと
「これからやりたいことですか?実はね、僕自身がすごいコーチになりたいっていうよりも、100人にコーチングを伝えて、その中からすごいコーチが生まれてくれたらいいなと思ってるんですよ。」と語る田所さん。
「昔からね、自分が手に入れたものを後輩がもっと早く手に入れられるようにしてあげたいっていうのがあったんです。自分が10年かけて学んだことを、彼らには1年で吸収してほしい。それができたら、次の世代はもっと早く、もっと大きな成果を出せるはずだと思うんですよ。」
彼の思いは、ただ自分自身の成長にとどまらず、周囲の人たちの成長をサポートすることにあります。「だから、これからは自分が前に出るよりも、コーチングの魅力をもっと広めて、たくさんの人にその力を体感してもらいたいですね。」
「自分一人でやるよりも、みんなで学んで、それぞれが活躍してくれた方が絶対にいい。そのための講座や活動を、今後もっと広げていきたいと思っています。」
4-コーチングBefore・After:田所さんの場合
コーチングを学ぶ前
エンジニア一筋・興味の対象はパソコンだけ
- ソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートし、技術的な問題解決に集中。
- 人材育成やマネジメントに興味がなく、パソコンだけが関心の対象。
コーチングは「部下を動かすための手段」
- 部下の行動を変えるための「技術」や「スキル」だと考えていたので、傾聴や承認などの基本スキルを使っても成果が出ないどころか、部下から嫌われた。
- 結果を求め、行動変容にこだわりすぎ、部下からは「もう結構です」と言われることもあった。
バリバリの問題解決思考
- 課題解決にばかり目を向け、目の前の人そのものを見ていなかった。
- 自分が教える立場だと思い込み、答えを与えるスタイルを続けていた。
コーチングを学んだ後
人に焦点を当てるコーチングスタイルに変化
- コーチングを通じて、技術やテクニックではなく、「目の前の人」に興味を持つことが大切だと気づく。
- 部下の話の内容ではなく、その人自身(Who)に注目することで、コーチングの質が劇的に向上。
成果よりも関わりを重視
- 行動変容だけを目的にせず、クライアントや部下との対等な関係を築くことを優先するようになる。
- その結果、部下たちが自発的に考え、行動するようになり、職場全体のコミュニケーションも改善。
コーチングを通じた健康への気づき
- コーチングで学んだ「心の基盤・関係性の基盤・体の基盤」という概念を通じて、自分の体調にも気を配るようになり、アトピーの症状が改善。
- 心と体の基盤が密接に関わっていることを理解し、無理をせず健康を優先する生活に変わる。
このように、田所さんはコーチングを学ぶ前はテクニックや成果に固執していましたが、学んだ後は「人」に焦点を当て、相手との信頼関係を重視するスタイルへと大きく変化しました。それにより、コーチングだけでなく、健康や職場での人間関係にも良い影響が現れています。
5-田所孝文さんのプロフィール
名前: 田所孝文(たどころたかふみ)
職業: パーソナルコーチ、ソフトウェアエンジニア
学歴および職歴:
・物理学修士
・ソフトウェアエンジニア(主に組み込み機器)
・ソフトウェア品質改善、職場改善
資格: ICF(国際コーチング連盟)認定ACC
コーチングスタート年: 2010年DiSCスタイル: DS
得意なコーチング分野: ビジネス、自分改善(基盤整理)
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