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コーチングとは?初心者でもわかる基礎と実践方法【徹底解説】

作成者: 最上輝未子PCC|2024/08/29 0:18:42

「コーチングとは何か?」という問いに対する答えを探している方へ。コーチングは今、多くのビジネスや自己啓発の分野で注目を集めています。しかし、初めてこの言葉に触れた方や、コーチングに興味を持ち始めたばかりの方にとっては、その意味や実践方法が少し曖昧に感じられるかもしれません。

この記事では、初心者でも理解しやすいように、コーチングの基礎とその実践方法を詳しく解説します。さらに、コーチングを学ぶことで得られるメリットや、どのようにコーチングを日常生活や仕事に活かすことができるのかについてもご紹介します。

1-コーチングとは何か?基本的な定義と目的

コーチングとは、個人や組織が持つ潜在能力を最大限に引き出し、目標達成を支援するプロセスです。コーチ(指導者)は、クライアント(指導を受ける人)との対話を通じて、彼らが自身の中にある答えを見つけ、行動に移す手助けをします。

コーチングの目的は、「指導」ではなく「支援」にあります。つまり、コーチはクライアントに対して解決策を押し付けるのではなく、彼ら自身が解決策を発見し、それを実行できるようサポートします。このため、コーチングはビジネスの世界だけでなく、個人の成長やキャリア開発、健康管理など、さまざまな分野で活用されています。

2-コーチングの基本スキル:初心者が知っておくべきこと

コーチングにはいくつかの基本スキルがありますが、ここでは初心者が押さえておくべき主要なスキルを紹介します。

傾聴力(Active Listening)

コーチングでは、クライアントの話をしっかりと「聴く」ことが何よりも重要です。ただ耳を傾けるだけでなく、言葉の裏にある感情やニーズを感じ取り、共感を持って対応することが求められます。このような聞き方を「積極的傾聴:Active Listening」と言います。

積極的傾聴では、クライアントの言葉だけでなく、感情や非言語的なメッセージにも注意を払い、共感を持って聴きます。これにより、クライアントは安心して自分の内面と向き合うことができるようになり、新たな気づきを得ることができるようになります​。

共感力

クライアントの気持ちや立場に寄り添い、理解しようとする姿勢が共感力です。これにより、クライアントとの信頼関係が築かれ、より効果的なコーチングが可能になります。

このとき使うスキルが、相手の言葉をそのまま繰り返す「リフレイン」です。リフレインは、初心者でも簡単にできて、しかも、相手が聞かれたと感じることができる、初心者向きのスキルです。

質問力

コーチングでは、適切な質問を通じてクライアントが自ら気づきを得ることを促します。良い質問は、クライアントの思考を深め、解決策を見つけ出す手助けをします。質問には、オープン・クエスチョン(自由回答形式の質問)やクローズド・クエスチョン(はい・いいえで答えられる質問)などがありますが、そもそも、相手の話を深く聞けていないと良い質問はできません。

つまり、質問力は、傾聴力・共感力ができて初めて身につく力なのです。

フィードバック力

コーチングでは、クライアントの行動や思考に対して建設的なフィードバックを提供します。フィードバックは、クライアントが自己を客観的に見つめ、改善の方向性を見つけるために不可欠です。

具体的かつ前向きなフィードバックを提供することが、クライアントの成長を支援します​が、クライアントの基盤の状態やコミュニケーションの好みにより、フィードバックの伝え方を変える必要があります。

クライアントのその瞬間の状態に合わせきれないと、クライアントの反発やメンタルダウンを誘発しかねないので、充分な注意が必要です。

つまり、フィードバック力も、傾聴力・共感力の下地があってこそ効果を発揮する力なのです。

注意:スキルだけではうまくいかない

コーチングではこのようなスキルを使いますが、これらのスキルが効果的に機能するには、コーチとクライアントの間に、安心安全な関係ができていることが前提条件となります。そこで忘れてならないのが「コーチとしてのあり方」です。

3-コーチとしてのあり方

国際コーチング連盟(ICF)は、コーチとしての「あり方」も非常に重要視しています。この「あり方」は、コーチングの基本スキルを支える基盤であり、コーチングの効果を高めるために欠かせない要素です。ICFが特に重視する「あり方」について、以下のポイントに注目してみましょう。

倫理とプロ意識の保持

ICFは、コーチが倫理的に行動し、高いプロ意識を持つことを強調しています。コーチは、クライアントの信頼を得るために、倫理的なガイドラインに従い、常にプロフェッショナルであることが求められます。これにより、コーチとクライアントの関係性が強化され、より深いコーチングが可能になります​。

信頼と安全の構築

コーチングにおいて、クライアントが安心して自分の考えや感情を表現できる環境を整えることが重要です。ICFは、コーチがクライアントとの信頼関係を築き、クライアントが安全だと感じられるスペースを提供することを求めています。この信頼関係が、コーチングの成功に大きく寄与します​。

コーチングマインドの体現

コーチは、自らのマインドセットをコーチングのプロセスに反映させることが求められます。具体的には、クライアントを尊重し、彼らの能力を信じ、成長をサポートする姿勢を持つことが重要です。これにより、クライアントは自分の可能性を信じ、積極的にコーチングに取り組むことができるようになります​。

Partner Withであり続ける

コーチングを効果的に行うためには、基本的なスキルの習得と共に、ICFが大切にする「あり方」を理解し、それを実践することが重要です。積極的傾聴や効果的な質問などのスキルを駆使しながら、クライアントとの信頼関係を築き、彼らの成長をサポートする姿勢を持つことで、コーチングの効果を最大限に引き出すことができます。

そこで常に意識すべきは「Partner With」=対等な関係である ということなのです。

 

4-コーチングを実践するためのステップ

コーチングは一定の会話の流れに沿って行います。一般的には、「コーチングフロー」「GROWモデル」「コーチングの構造」などと呼ばれています。

コーチングが継続的に行われることからヘルスコーチ・ジャパンでは、この一連の会話の流れを「コーチングサイクル」と名づけています。

コーチングサイクルの主なステップは下記となります

1. 信頼関係の構築

コーチングの最初のステップは、クライアントとの信頼関係(ラポール)を築き、クライアントが安心して自分の考えや感情を共有できる環境を作ることです。信頼関係が強固であればあるほど、クライアントは率直に自分の課題や目標について話しやすくなります。なぜなら、自分の内面と向き合い、それを第三者に語ることは、心理的にハードな作業だからです。

具体的には次のようなことをします

11. 積極的傾聴

クライアントの話に深く耳を傾けることで、コーチはクライアントが抱える課題や感情を理解しようと努めます。これは単に言葉を聞くだけでなく、クライアントの非言語的なメッセージや感情も含めて理解しようとする姿勢が重要です。積極的傾聴を通じて、クライアントは「このコーチは自分を理解してくれている」と感じ、信頼が生まれます​。

12. 無条件の肯定的態度

コーチはクライアントを無条件に受け入れ、評価や批判をせずに接します。クライアントの価値観や選択を尊重し、ありのままを受け入れることが信頼関係の基礎となります。このアプローチにより、クライアントは自分が安全な環境にいると感じ、自信を持って自分の考えを共有することができます。

13. 一貫性と透明性

コーチは自分の言動に一貫性を持ち、透明性を保つことで、クライアントからの信頼を得ます。これは、約束したことを守り、クライアントに対して正直であることを意味します。一貫した態度や透明なコミュニケーションにより、クライアントは安心感を持つことができます。

14. 感情的な共感

コーチはクライアントの感情に寄り添い、共感を示すことで、信頼を深めます。感情的な共感とは、クライアントが感じていることを理解し、それに対して適切に反応することです。これにより、クライアントは「このコーチは私の気持ちを理解している」と感じ、より深い信頼関係が築かれます。このとき、クライアントのコミュニケーションスタイルによって、関わり方を変えます。共感のされ方にも人により好みがあるのです。

15. 守秘義務の遵守

コーチは、クライアントとのやり取りがすべて機密であることを強調し、それを厳守します。クライアントが安心して自己開示できる環境を提供するために、守秘義務の遵守は極めて重要です。これにより、クライアントは安心して自分の考えや感情を表現することができます。

・・・・・・・
クライアントとの信頼関係を築くためには、コーチが積極的に傾聴し、無条件の肯定的態度を持ち、透明性を保ちながら一貫性のある行動を取ることが必要です。また、感情的な共感や適切なフィードバック、そして守秘義務の遵守も重要な要素です。これらのアクションを通じて、コーチはクライアントとの強固な信頼関係を築き、効果的なコーチングを実現します。

2. 目標設定

目標設定は単に達成したいことを決めるだけではありません。その目標が、クライアントが描く長期的な未来ビジョンとつながっていることが非常に重要です。

そして、クライアントの心の中にある「地雷」や固定された「枠組み」の影響を排除することも大切です。なぜならこれらの要素が影響していると、本来の望みから外れた目標を設定してしまう可能性があるからです。

21、目標を未来ビジョンとつなげる

目標が未来のビジョンと一致すると、その達成に向けたモチベーションが持続しやすくなります。これは、目標が単なる短期的なゴールではなく、人生の大きな目的につながっているという実感が得られるためです。

さらに、このような目標設定により、日々の選択や行動に一貫性が生まれ、大きな目的に向かって着実に前進できるようになります。

加えて、自分が本当に望む人生のビジョンと目標を結びつけることで、自己実現の機会が広がります。「どんな人生を送りたいか」「そのために何が必要か」を明確にし、それに沿った目標を立てることで、より充実した満足度の高い人生を歩むことができるでしょう。

このように、目標と未来ビジョンの一致は、私たちの人生をより豊かで意義あるものにする重要な要素となるのです。

22、心の地雷や枠組みからの影響を排除する

目標を設定する際、クライアントの心の中にある「地雷」や固定された「枠組み」の影響を排除することが大切です。これらの要素が影響していると、本来の望みから外れた目標を設定してしまう可能性があります。

>>心の地雷とは?

心の地雷とは、過去の経験やトラウマ、失敗の記憶などが原因で生じる無意識の抵抗や恐れを指します。これらは、クライアントが本当に望む目標を設定するのを妨げたり、必要以上に安全な目標を選んでしまったりする原因になります。

例: 以前の仕事で失敗した経験から「自分にはリーダーシップがない」と思い込み、リーダーシップを発揮する目標を避けることがあります。しかし、その目標を避けることで、将来のキャリアにおけるリーダーシップの重要な役割を見逃すことにもなります。

>>枠組みとは?:

枠組みは、社会的な期待や自己イメージ、周囲からの圧力などによって形成される固定観念のことです。この枠組みの中で目標を設定すると、クライアントの本当の願望や可能性を狭めることになります。

例: 「社会的に成功していると見られたい」という理由から、自分の本当の興味や価値観とは異なる職業を目指してしまうことがあります。しかし、こうした枠組みに基づく目標は、達成しても真の満足感や幸福感を得られないことが多いので、目標設定をするときには、注意深く相手の話を聞き、無意識の中にある本音を探索することが欠かせません。

23. クライアントの無意識がのぞむ真の目標設定をする方法

クライアントが言うからといって、それを真に受けてはいけません。コーチは、クライアント本人も気づいていない無意識を探索し、心からのぞむ目標設定をする必要があるのです。このレベルの目標設定ができるようになると、クライアントは自分の殻を破り、大きく成長するようになります。

実際には、他の要素も複雑に絡み合っていますが、まずは下記をやってみてください。

自己探求と対話:

コーチングでは、クライアントが自分の本当の価値観や未来ビジョンを探求することが重要です。これは、コーチとの対話を通じて行います。過去の経験に縛られたり、社会的な期待に影響されたりしている目標ではなく、自分自身の真の願望に基づいた目標を設定するために、クライアントが安心して自分の内面と向き合う時間を作ります。

制約を認識して解放する:

クライアント自身が、自分が無意識に持っている心の地雷Ⓡ枠組みを認識することも重要です。これには、過去の失敗や恐れに向き合い、それが今の自分の目標設定にどのように影響を与えているかを理解することが含まれます。コーチは、このプロセスをサポートし、クライアントが制約を乗り越え、本当の目標を見つけられるように支援します。

目標の再評価:

目標設定の過程で、定期的にその目標がクライアントの未来ビジョンと一致しているか、また心の地雷や枠組みの影響を受けていないかを再評価することが重要です。これにより、目標が常にクライアントの本当の願望と一致し、未来に向かって進んでいることを確認できます。

・・・・・・・
目標設定は、クライアントの未来ビジョンとつながっていることで、その達成に向けた強い意欲と一貫した行動を生み出します。また、心の地雷や固定された枠組みに影響されない目標を設定することは、クライアントが本当に望む人生を生きるために必要不可欠です。これらの要素を意識して目標設定を行うことで、クライアントは自己実現に向けて確実に歩みを進めることができるでしょう。

3. アクションプランの策定

アクションプランを効果的に立てることで、目標達成に向けた実行がスムーズに進みます。以下に、実行につながるアクションプランを立てるためのコツを紹介します。

31. 目標を細分化する

大きな目標をそのままにしておくと、圧倒されてしまい、行動を起こすのが難しくなります。目標を小さなステップに分解することで、一つひとつの行動に取り組みやすくなります。

コツ: 大きな目標を達成可能な小さなタスクやマイルストーンに分解し、それぞれに期限を設定します。たとえば、「3ヶ月で5キロ減量する」という目標を「毎週0.5キロ減量する」という具体的な週ごとの目標に分解すると「それだったらやれそう」という気持ちになれそうですよね。あなたのクライアントが「やれそう」と思えることがポイントです

32. SMART基準で計画を立てる

アクションプランは、具体的で測定可能、達成可能、関連性があり、時間制約がある(SMART)ものであることが重要です。これにより、計画が実行可能で現実的になります。

コツ: 具体的な行動をSMART基準で設定します。たとえば、「毎週月水金に30分間のジョギングをする」といった具合に、具体的な日程や時間を含めたプランを立てます。このように、より具体的であればあるほど、行動する確率は高まります。

SMARTの法則とは?

Specific(具体的) 曖昧な計画は達成が難しいため、「健康になる」よりも「毎日30分の運動をする」といった具体的なプランを設定します。
Measurable(測定可能) 進捗を測定できるプランにすると、自分がどれだけ進んでいるかを確認でき、モチベーションが維持しやすくなります。
Achievable(達成可能) 過度に高いプランは挫折を招きやすいため、現実的な範囲でチャレンジングなプランを設定します。
Relevant(関連性がある) 自分の価値観や長期的な目標に関連するプランを設定します。こうすることで、プランに対する意義を感じ、取り組みやすくなります。
Time-bound(期限がある) 期限があることで、行動に対する焦点が定まり、時間管理がしやすくなります。
 
33. 障害を予測し、対策を立てる

どんな計画にも、実行の過程で予想される障害があります。これらを事前に予測し、対策を立てておくことで、実行時に挫折しにくくなります。

コツ: 「もし~が起こったらどうするか?」といったシナリオを想定し、その解決策を考えておく。たとえば、「天候が悪くてジョギングができない場合は、室内でできるエクササイズを代わりに行う」というように、代替案を用意しておきます。

34. エコロジカルチェックをする

エコロジカルチェックは、目標や計画がクライアントの全体的な人生や環境に与える影響を確認するプロセスです。目標が他の重要な側面と調和しているか、悪影響を及ぼさないかを評価します。これにより、目標達成後に望ましくない結果が生じないようにします。リスクやトレードオフを予測し、長期的に持続可能な目標設定をサポートします。コーチングでの成功とクライアントの満足を高めるために重要なステップです。

【コーチングスキル解説】エコロジカルチェックとは?

35. 行動の優先順位をつける

多くのタスクがあると、何から手をつけるべきか迷ってしまうことがあります。優先順位をつけることで、効率的に行動でき、最も重要なタスクに集中することができます。

コツ: タスクを「重要度」と「緊急度」の2軸で分類し、優先順位を決めます。たとえば、最も重要で緊急なタスクを最優先し、それに続くタスクを段階的に進めるようにします。

36. 定期的に進捗を確認する

計画を立てたら、その進捗を定期的に確認することが必要です。これにより、計画通りに進んでいるか、必要な調整があるかを早期に把握できます。

コツ: 毎週または毎月、自分自身またはコーチと一緒に進捗をレビューし、必要に応じてアクションプランを見直します。この定期的な確認が、計画の実行を促し、達成感を得るきっかけにもなります。

37.ごほうびを設定する

モチベーションを維持するために、小さな目標を達成したときに自分にごほうびを与えることが有効です。ごほうびは、たとえそれがささやかなものであっても、次の行動を促す動機付けとなります。

コツ: たとえば、1週間毎日ジョギングができたら、週末に自分へのご褒美として好きな映画を見る、といった小さな報酬を設定します。こうした報酬が、アクションプランの実行を楽しみながら続けるための原動力になります。

38. サポートシステムを活用する

アクションプランを一人で実行するのは難しいことがあります。家族や友人、コーチなどのサポートを活用することで、行動を継続しやすくなります。

コツ: 目標を共有できるパートナーを見つけるか、定期的にコーチングセッションを受けることで、進捗の確認やアドバイスを受けられる環境を整えます。これにより、自分の行動に対する責任感が高まり、継続が容易になります。

 

4. 実行とフィードバック

アクションプランが策定されたら、クライアントはそれを実行します。コーチの役割は、実行中にクライアントをサポートし、必要に応じてフィードバックを提供することです。このフィードバックは、クライアントが自分の行動を振り返り、改善のヒントを得るために重要です。

具体例: クライアントがプレゼンテーションの練習を行い、その結果をコーチに報告します。コーチは、練習の録音を聞いて、強みや改善点について具体的なフィードバックを行います。

 

5. 振り返りと再設定

最後のステップは、これまでのプロセスを振り返り、目標が達成されたかどうかを確認することです。もし目標が達成された場合は、新たな目標を設定し、コーチングサイクルを繰り返します。達成されていない場合は、アクションプランを再設定し、改善策を考えます。

具体例: クライアントが次のプレゼンテーションで自信を持って話せた場合、その経験を振り返り、さらに高いレベルの目標を設定します。もし満足のいく結果が得られなかった場合は、次回に向けての改善策を一緒に考えます。

 

・・・・・・・
コーチングサイクルは、クライアントの成長と目標達成をサポートするための連続的なプロセスです。信頼関係の構築から始まり、目標設定、アクションプランの策定、実行とフィードバック、そして振り返りと再設定までの一連のステップを通じて、クライアントは自身の可能性を最大限に引き出すことができます。このプロセスを繰り返すことで、クライアントは継続的に成長し、新たな目標に向かって進むことができるようになります。

 

5-コーチングを学ぶことで得られるメリット

コーチングを学ぶことで得られるメリットは、個人の成長からキャリアアップまで多岐にわたります。

自己理解が深まる

コーチングを学ぶことで、自己理解が深まり、自分の強みや弱みを客観的に把握できるようになります。これにより、自己成長のための具体的な行動が取れるようになります。

リーダーシップ力が向上する

コーチングのスキルは、リーダーシップの向上にも直結します。チームメンバーの潜在能力を引き出し、彼らが自発的に目標を達成できるようにサポートすることで、チーム全体のパフォーマンスを向上させることができます。

コミュニケーション能力の強化

コーチングを学ぶことで、効果的なコミュニケーションスキルが身につきます。これは職場だけでなく、日常生活や人間関係の改善にも役立ちます。人間関係が改善すると、対人ストレスが激減して、本来やりたかったことにエネルギーを集中できるようになるので、人生そのものが好転します。

キャリアアップのチャンス

コーチングのスキルは、ビジネスの世界でも高く評価されます。特にICF(国際コーチング連盟)の認定資格を取得することで、プロフェッショナルとしてのキャリアアップが期待できます。

当団体には、国際コーチング資格を取得することで、転職に有利に働いたという報告が多数寄せられています。

 

6-コーチングの効果と活用実践事例

コーチングは、特にビジネスの現場で大きな効果を発揮します。例えば、チームリーダーがコーチングスキルを活用することで、以下のような効果が期待できます​

コーチングの効果

  • 部下のモチベーション向上:部下が自ら目標を設定し、それに向かって主体的に行動するようになります。
  • コミュニケーションの活性化:信頼関係を基盤とした本音の対話が促進され、風通しの良いチームを形成できます。
  • 問題解決能力の向上:部下が自ら考え、行動する力を養うことで、問題解決能力が高まります。
  • パフォーマンスの向上:成長を促すことで、チーム全体の成果が向上します。

活用実践事例

【事例1】部下のモチベーション向上にコーチングを活用した事例

ある中堅企業の営業チームでは、最近、業績の低迷が続いていました。特に、部下のAさんは、以前は成績優秀だったものの、最近では目に見えてモチベーションが低下し、成果が出せなくなっていました。Aさんは、チームの中でもリーダー的な存在であり、彼のモチベーションがチーム全体に与える影響は大きいため、上司のBさんはこの状況を深刻に捉えていました。

<部下の本音を探索するコーチング>

Bさんは、Aさんのやる気問題と向き合うために、1on1ミーティングを定期的に開始することにしました。

Bさんはコーチングスキルを使って、Aさんの想いに寄り添い、Aさんが自分で解決策を見つけ出せるようサポートすることを目指しました。

上司Bさんが意識したこと

安心で安全な関係と環境をつくる:
最初にBさんは、Aさんが自由に自分の気持ちや考えを話せるような安全な環境を作る努力をしました。具体的には、傾聴に徹し、Aさんが話すことをすべて受け入れ、うなづき・あいづち・繰り返し(リフレイン)だけで聞きました。途中自分の意見を言いたくなる場面がたびたびありましたが、それをグッと堪えて、ひたすらAさんが現状をどう捉え、どう感じ、どうしたいと思っているのかを感じ取ることだけに集中しました。すると、だんだんとAさんの現状が見えてきました。

問題の明確化:
 次に、Bさんは、Aさんが思っている課題や問題を探索する質問をしてみました。使った質問は次のようなものです

  1. ここまで話してみてどうですか?
    メタコミュニケーションの問い:自分が話したことを自分で振り返ってもらうことにより、気づきが起こる可能性が高まります。
  2. あなたのやる気を落としているものはなんだと思いますか?
    1の問いで出てくる可能性もありますが、再度この問いを投げかけることで、自分自身に何が起こっているかを再度認識してもらうために行う質問です。

すると、Aさんは、最近の市場変動によるプレッシャーと共に、家庭内の問題も心理的負担になっていることを話してくれました。

上司Bさんが傾聴に徹し、常に共感的姿勢でいることが、Aさんに心理的安心感を与え、いいづらい家庭内の問題についても上司に言えるようにしたと言えるでしょう。

Aさんはどうしたいのか?
次にやったのは、この状況をAさんがどうしたいと思っているか?ということを語ってもらうことです。Bさんは「いろいろたいへんな想いを抱えていたんだね」と共感の言葉をかけながら、「それでどうしたいと思っているの?」と問いかけてみました。

Aさんは、苦しい胸の内を話してホッとしたのか、市場変動への対応策を一緒に考えて欲しい、と申し出ました。Bさんは、喜んで協力することを伝え、定期的にミーティングを行い、対応策を共に考えていくことを約束しました。

結果
数ヶ月のコーチングを経て、Aさんのモチベーションは回復し、チーム内で再びリーダーシップを発揮するようになりました。Aさんは、定期的な1on1ミーティングの中で設定した目標を達成し、その過程で自分の成長を実感することができました。これにより、チーム全体の士気も向上し、業績が回復しました。

ICF-PCCコーチからのアドバイス
このようなケースでは、まずは部下に本音を話してもらうことが基本です。以前はやる気があったのに、それが最近落ちているということは、何らかの変化が起こっているということです。そこのところを本音で語ってもらえなければ、次に進めません。まずは安心安全な関係と環境をつくることだけに集中し、否定せずに肯定的に聴く、ここに徹することが成功の秘訣です。

上司がよくやる間違いは、自分の意見を言ってしまうことです。これをやった途端に部下は口を閉ざすでしょう。なぜなら、自分の気持ちがさがっていることが、チーム全体に悪影響を及ぼしていることは、本人が一番わかっていることだからです。そしてひとりで抱え込むことで、いっそう状況を悪化させているのだけど、上司に相談する勇気がなく、ひとりでもがいている苦しい状況だと思われます。

その苦しい想いに寄り添い、そこから抜け出すプロセスを伴走することを約束すること、そしてそれを実行することが、このケースの成功の秘訣です。

 

【事例2】リーダーシップ開発にコーチングを活用した事例

大手IT企業のC社では、急速な成長に伴い、リーダーシップを発揮できる管理職の育成が急務となっていました。特に、次期プロジェクトマネージャー候補であるDさんは、技術的には優れているものの、チームの指導や意思決定において自信が不足していると感じていました。上司のEさんは、Dさんが持つ潜在的なリーダーシップを引き出すために、定期的な1on1コーチングを実施することを決定しました。

<明確な目的がある学習型グループコーチング>

このケースは、マネージャー候補であるDさんのリーダーシップ力を向上させる、という明確な目的があります。

なので、最初にやるべきは、マネージャー候補のDさんと、リーダーシップ開発を目的としたコーチングを行うことに対してどう思っているのか?合意するのかどうか?を確認することです。

この合意なしに、勝手にスタートすると失敗します。なので、最初にしっかりとコーチングの目的を確認して合意をとってください。

合意がとれたら、どういう流れでやっていくか、全体アジェンダを確認します。

このケースでは、次の流れでコーチングを行いました。このコーチングは、ひとりに対して行うよりも、数名のマネージャー候補を対象にしたグループコーチング形式で行ったほうがうまくいくでしょう。なぜなら、純粋なコーチングというより、ティーチングとセットにした、学習を目的としたコーチングになるからです。このような形式で行うコーチングをヘルスコーチ・ジャパンでは「学習型グループコーチング」と呼んでいます。ファシリテーションと似ていますが、全く違います。

もし1対1で行うのであれば、通常のコーチングではなく、メンターコーチングとなります。ここでいうメンターコーチングとは、特定の分野において経験が豊富な先輩が、時に自分の経験やアドバイスを交えながら、コーチ的に関わって行く手法です。

今回は1対1で次のように行いました

大目標の確認と合意形成

これから行うコーチングの最終目的が、Dさんのリーダーシップ力の開発であり、会社としては、Dさんに次世代リーダーとして活躍してもらいたいと思っていることを伝えました。そして、Dさんにリーダーシップ力を開発したいという気持ちがあるかどうかを確認、合意をもらいました。

個人目標の設定とアクションプランの設定

最終ゴールは、次世代リーダーとして活躍することができるリーダーシップ力を開発する、ですが、そこに到達するためのロードマップを、Dさんと共に設計しました。

1-Dさんが思う次世代リーダーの姿を言語化する(目指すGoalイメージの明確化)

  • Dさんはどんなリーダーになりたいですか?
  • お手本にしている人はいますか?その人のどんなところをお手本にしたいのですか?具体的に話してみて下さい

2-目指すGoalイメージに到達するために何が必要かを言語化する

  • Dさんが思うリーダー像はこんな人のようです(ここまで話したことを箇条書きにする)これを完璧にこなしている状態を100とすると今は何点ですか?(スケーリングの問いで現状を数値化する)
  • 100点に近づけるためには、何が必要ですか?思いつく限り自由に話して下さい(出てきた意見を箇条書きにして整理する)

3-Goalに到達するまでの具体的アクションプランをたてる

  • (リストを見ながら)どこから手をつけると良いと思いますか?(優先順位をつける)

たてたアクションプランをもとに実践してもらい、定期的に進捗確認と振返りを目的としたコーチングを実施します。その際、都度都度発生する課題を扱いつつ、下記のような内容を、メンターとしてアドバイスしたりコーチングしたりします。

自己認識の強化
最初に、EさんはDさんと一緒に自己認識を深める作業に取り組みました。これには、Dさんが自身の強みと弱みを客観的に理解するための質問やフィードバックが含まれます。たとえば、「これまでに成功を収めたプロジェクトでは、あなたのどのような行動が成果に繋がったと思いますか?」という質問を通じて、Dさんが自分の強みを再確認する機会を設けました。また、過去の失敗経験についても振り返り、そこから学んだことを整理しました。

リーダーシップスタイルの探索
次に、EさんはDさんにさまざまなリーダーシップスタイルを紹介し、自分に最も適したスタイルを見つける手助けをしました。Eさんは、Dさんが他のリーダーから学ぶことができるよう、リーダーシップに関する書籍の紹介や、成功しているリーダーのケーススタディを用いました。これにより、Dさんは自己のリーダーシップスタイルを確立し、チームを効果的に導くための方法を理解することができました。

コミュニケーションスキルの向上
リーダーシップには効果的なコミュニケーションが不可欠です。Eさんは、Dさんがチームメンバーとより良いコミュニケーションを図るためのスキルを向上させるためのどんなスキルを向上させたいと思っているかを質問しました。

具体的には、アクティブリスニングやフィードバックの提供方法、ミーティングのファシリテーション技術などに焦点を当てました。Eさんはロールプレイングを通じて、Dさんがこれらのスキルを実践的に学べる場を提供しました。

意思決定力の強化
Dさんが自信を持ってリーダーシップを発揮するためには、効果的な意思決定が不可欠でした。Eさんは、Dさんが直面している具体的な意思決定の場面を取り上げ、そのプロセスを一緒に分析しました。Eさんは、「この状況でどのような選択肢がありますか?」や「どのようなリスクを考慮していますか?」といった質問を通じて、Dさんが意思決定に必要な視点や情報を整理できるようサポートしました。

実践とフィードバック
Eさんは、Dさんが実際のプロジェクトでリーダーシップを発揮する機会を積極的に与え、その後にフィードバックセッションを行いました。Eさんは、Dさんがリーダーとしての役割を果たす際の成功や課題を具体的に振り返り、次に活かすための改善点を一緒に検討しました。これにより、Dさんはリーダーシップの実践を通じて自信を深め、継続的に成長することができました。

結果
数ヶ月にわたるコーチングの結果、Dさんはリーダーシップに対する自信を持ち、自らのスタイルを確立しました。Dさんはプロジェクトマネージャーとしてチームを率い、プロジェクトを成功に導くことができました。また、Dさんの成長は他のチームメンバーにも良い影響を与え、組織全体のパフォーマンス向上にも貢献しました。

ICF-PCCコーチからのアドバイス
実際には、Dさんの状態により、流れは変わります。ポイントは、アドバイスやティーチングの前後に必ずコーチ的関わりを入れるということです。やってみてどうだったか?それに対してどう思っているのか?をまず本人に語ってもらい、そこから見えてきた課題を本人に言語化してもらいます。

ここまでを本人にやってもらった後に、メンターとしてのアドバイスや意見を伝えて下さい。このとき、アドバイスの前に承認の言葉を入れると効果があがります。

そして最後に、今の僕のアドバイスを聞いてどう思う?と、伝えたアドバイスをどう受けとめているのかを必ず確認してください。そうすることで、アドバイスが受け入れられたかどうかが明確になり、もし、抵抗感があるようだったら、どこが難しいと感じるのかを話してもらう、というステップを繰り返します。

  1. 実践の振返りをする
    • やってみてどうでしたか?
    • どんな課題が見えてきましたか?
  2. その課題を解決するために次はどんなアクションをたてますか?
  3. 1-2の内容に対して承認の言葉をかける
  4. アドバイスをすることの許可をとる(僕の経験を話してもいい?)
  5. アドバイスをする
  6. アドバイスを聞いてどう感じたかを問う
  7. 6に対する反応により、再度想いを聴いて何ができるかを探索する

上記を何度も繰り返します。コーチングは継続的コミュニケーションです。これらの関わりは、すべてその瞬間の会話で行われるので、入念なトレーニングが必須となります。

 

【事例3】チームビルディングにコーチングを活用した事例

ある製造業の企業F社では、新製品の開発プロジェクトを進めるために、異なる部署から集まったチームが編成されました。しかし、チームメンバーはそれぞれ異なるバックグラウンドを持ち、業務スタイルやコミュニケーションの方法が異なるため、初期段階で意見の対立や不信感が生じ、プロジェクトが思うように進んでいませんでした。プロジェクトマネージャーのGさんは、チームの一体感を高めるために、コーチングを取り入れることを決意しました。

<組織開発を目的としたチームコーチング>

Gさんは、外部のコーチHさんを招き、チームビルディングを目的としたコーチングセッションを行うことにしました。このコーチングは、チームのコミュニケーション改善や相互理解の促進を目指し、チーム全体のパフォーマンス向上を目標として設定しました。

チームの現状分析
最初にHさんは、各メンバーと個別のインタビューを行い、チーム内での現状や課題を把握しました。インタビューを通じて、メンバー間のコミュニケーションのギャップや、相互理解の不足が主な問題であることが明らかになりました。また、メンバーが感じているフラストレーションや不安についてもヒアリングしました。

信頼関係の構築
Hさんは、チームメンバー全員が参加するワークショップを開催しました。このワークショップでは、まずメンバー間の信頼関係を築くことを目指し、アイスブレイクや自己紹介のセッションを行いました。各メンバーが自分のバックグラウンドや仕事への姿勢、期待などを共有することで、お互いの理解が深まりました。

コミュニケーションの改善
次に、Hさんは、チームのコミュニケーションスタイルを改善するためのトレーニングを行いました。具体的には、アクティブリスニングやフィードバックの技術を学び、実際にロールプレイを通じて練習しました。これにより、メンバーが他者の意見を尊重しながら、建設的に対話するスキルを身に付けました。

チームの目標設定
ワークショップの中で、Hさんはメンバーと共にチームとしての目標を明確にしました。これには、プロジェクトの成功だけでなく、チームとしてどのような価値を共有し、どのような働き方を目指すのかというビジョンも含まれていました。全員が目標に対してコミットすることで、チームの一体感が生まれました。

役割と責任の明確化
Hさんは、各メンバーの役割と責任を再確認するセッションを行いました。この過程で、各メンバーが自分の役割を理解し、他のメンバーの役割との連携が重要であることを認識しました。これにより、無駄な重複作業や責任の押し付け合いが減り、チーム内での効率が向上しました。

継続的なサポートとフィードバック
セッション後も、Hさんは定期的にチームをサポートし、フィードバックを提供しました。プロジェクトの進捗やチームのコミュニケーション状況を確認し、必要に応じて追加のコーチングセッションを行いました。チームメンバーもお互いにフィードバックを行い、継続的な改善を図りました。

結果
コーチングを通じて、F社のプロジェクトチームは徐々に一体感を持ち、コミュニケーションがスムーズになりました。意見の対立も減少し、メンバー同士がサポートし合う姿勢が見られるようになりました。これにより、プロジェクトは順調に進み、最終的には予定よりも早く新製品を市場に投入することができました。また、チームの成功体験は、今後のプロジェクトにも良い影響を与えることが期待されています。

 

7-まとめ:コーチングを学ぶ第一歩を踏み出そう

コーチングは、個人の成長や他者支援に非常に効果的なツールです。その基本を理解し、実践することで、あなた自身や周囲の人々に大きな変化をもたらすことができます。

初心者の方でも、コーチングの基礎を学び、実践することで、その効果を実感できるでしょう。まずは、信頼できるコーチングスクールやプログラムに参加し、自分に合った学びのスタイルを見つけてみてください。

国際コーチング連盟の国際資格がとれるスクールで学ぶことを強くオススメします