この記事では、マネジメントとは何かを簡単に解説します。いろんなサイトで解説してありますが、複雑すぎるので、できるだけシンプルにまとめてみました。途中わかりやすいように、一覧表や図を入れています。
マネジメントを実際に担っているマネージャーの皆さんは、後半の部分に、どういうスキルや能力を身につければ良いのか、それを実現するにはどうすれば良いかを記載しています。この記事が、あなたのチームマネジメントにお役にたつと幸いです。
ビジネスにおけるマネジメントとは簡単にひと言で言うと「組織に成果を上げさせるための仕組みやツールのこと」を言います。
つまり、マネジメントを行う目的は、組織の目標を設定し、設定した目標に沿って組織を運営し、成果を上げることです。
ドラッカーは、マネジメントの目的と役割を次のように定義しています。
設定した目標に沿って組織を運営すること
組織の目標を達成すること
組織が大きくなるに従い、業務の責任範囲を設定し、それぞれの成果に責任を負う「マネージャー」を配置していくことが必要となります。
では、マネジメントにはどんな種類があるのでしょうか?
マネジメントは「誰がどこに対して行うマネジメントなのか?」「何の業務に対して行うマネジメントなのか?」によって、いくつかの種類に分かれます。
企業や組織の役職・役割に応じて求められるマネジメントのことを階層別マネジメントと言います。
代表取締役や経営層などに求められるマネジメントです。企業や組織全体のビジョン・計画立案、経営戦略を作成し、意思決定をします。
部長や課長といった「中間管理職」に求められるマネジメントです。経営層から現場に対するさまざまな情報の伝達、および、現場からの意見を経営層に伝える役目が含まれます。
現場スタッフの直属の上司である、係長やリーダーに求められるマネジメントです。ミドルマネジメントからの指示・企業としての方向性などを現場に落とし込み、それが着実に実行されているかを管理することが目的のマネジメントです。
トップマネジメント | ミドルマネジメント | ローアーマネジメント |
代表取締役や経営層 | 部長や課長などの中間管理職 | 係長やリーダー |
組織のビジョン・計画立案、経営戦略の作成、意志決定 | 情報伝達、現場の意見の吸い上げと上層部への伝達など | 上層部からの情報の現場への落し込み・進捗管理・実行 |
業務内容に応じて分類したものを業務別マネジメントと言います。
組織運営に関するマネジメント、人材管理に関するマネジメント、メンタルヘルスに関するマネジメントの3つに大きく分けられ、それぞれに次のようなマネジメントがあります。
メンタルヘルスに関するマネジメントは、下記のようなものがありますが、組織のマネージャーが行うのは1の「メンタルヘルスマネジメント」のみです。2と3は、個々人がセルフケアとして行うものです。
組織運営に関するマネジメント
チームマネジメント | チーム目標達成のためにチームが円滑に動くようにする |
ナレッジマネジメント | 個々人の知識や経験を共有し組織全体の知識レベルを上げる |
プロジェクトマネジメント | プロジェクト全体の運営計画や管理を行い成功させる |
コンフリクトマネジメント | 組織の中で発生する衝突や対立を改善や成長につなげる |
人材管理に関するマネジメント
タレントマネジメント | 各人のスキルや特性に合わせた配置と育成を行うマネジメント |
パフォーマンスマネジメント | 個々人の能力を引き出し仕事のパフォーマンス向上につなげるマネジメント |
モチベーションマネジメント | 個々人のモチベーションを高め、組織の生産性や成果につなげるためのマネジメント |
ダイバーシティマネジメント | 個々人の人種や性別年齢などの多様性を活かし成果につながるように、組織の文化や制度を整備し強化していくマネジメント |
メンタルヘルスに関するマネジメント
メンタルヘルスマネジメント | 心の健康管理を行う | マネージャーがラインケアで行う |
ストレスマネジメント | ストレスの緩和・コントロールをする | 個人がセルフケアで行う |
アンガーマネジメント | 怒りの感情のコントロールをする | 個人がセルフケアで行う |
これらのマネジメントを行う上で、必要となるスキルや能力はどのようなものなのでしょうか?
必要となるスキル・能力は、マネジメントを行う”対象”によって、あるいは、”誰がどこに対して行うマネジメントなのか?”によって変わります。
ここでは、カッツモデルが提唱しているスキル・能力をご紹介します。
米国の経営学者ロバート・L・カッツが1950年に提唱した人材育成のモデルのことを言います。
ロバート・L・カッツが提唱しているスキルは下記の3つです
図のように、マネジメントを行う役職によって、この3つのスキルのバランスが変わります。
毎日の業務を確実に遂行するために必要なスキル・能力のことです。担当する業務によって求められるスキルは異なります。
業務遂行を担当する、ロワーマネジメント層(係長・主任・チームリーダーなど)とチームメンバー個々人に求められるスキルです。
周りの人と良好な関係を作るスキル・能力です。ヒューマンスキルは、階層にかかわらず、誰もが持っておきたい基本のスキルです。
具体的には、コミュニケーション力・傾聴力といった基本スキル、さらには、プレゼンテーション力・リーダーシップ力・交渉力など、周りに働きかける能力、そして、人材育成に欠かせないコーチング力などが該当します。
この能力を身につけると、一人ではできなかったことを周囲をうまく巻き込みながら達成していけるようになるので、より大きな目標を達成できるようになります。つまりあなたのチーム内での役職が上がるにつれ、ヒューマンスキルの重要度が高まるということです。
目の前の状況や情報を客観的に分析し、その本質を捉えて最適な選択をする能力のことを言います。簡単に言うと、現象から本質を掴み、概念化する能力のことを言います。ものごとの本質をとらえることができれば、経験したことがない問題に直面しても、最適な選択をすることができるようになります。
コンセプチュアルスキルの主だったものには下記のようなものがあります。いずれも重要なスキルですが、身につけるにはかなりの訓練が必要です。
カッツモデルが推奨する3つのスキルの具体的内容一覧
テクニカルスキル | 担当業務に必要な業務遂行スキル |
ヒューマンスキル | ▶基本スキル:コミュニケーション力・傾聴力 ▶周りに働きかけるスキル:プレゼンテーション力・リーダーシップ力・交渉力 ▶人を育てるスキル:コーチング |
コンセプチュアルスキル | 論理的思考(ロジカルシンキング)・批判的思考(クリティカルシンキング)・水平思考(ラテラルシンキング)・柔軟性・受容性・探求心・応用力・洞察力・先見性・俯瞰力・知的好奇心 など |
マネジメントの内容と必要なスキルについて解説してきました。
それでは、具体的に、担当業務の成果に責任を持つ「マネージャー(管理職)」は、何をすれば良いのでしょうか?
ドラッカーはマネージャーの役割を下記のように定義しています
ドラッカーが定義するマネージャーの役割は、コーチングを使った定期的なミーティングを行うことで実現できます
コーチングは、1対1でも使えますが、1対多でも使えるので、これまでご紹介してきた、組織運営に関するマネジメント、人材管理に関するマネジメント、メンタルヘルスに関するマネジメント、のどのマネジメントにも活用することが可能です。
ドラッカーが定義するマネージャーの役割のうち、ひとつ目の「組織を作りミッションを達成する」はチームコーチング(チームに対して行うコーチングのこと)で実現できます。ふたつ目の「部下を統率・育成する」は、1対1コーチングで実現できます。
コーチングを使ったマネジメント方法のことを、コーチング型マネジメントと言います。