メンタルヘルスマネジメント:TOP | 団体概要 | 実践アドバイザー 熊谷妙子先生



社会福祉士・介護支援専門員
短大保育科卒業後、高齢者施設に就職。佛教大学社会福祉学部通信課程編入・卒業。 介護職、相談員を経て、現在は福岡県内の高齢者福祉施設・障害福祉サービス事業所施設長。
麻生医療福祉専門学校福岡校非常勤講師。
現場のモチベーション向上を目指して、コーチングを活用している。
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Q:熊谷さんは、コーチングを施設運営に活用なさっているとのことですが、詳しく教えてください。
人相手の仕事は、マニュアルでは決して対応しきれない問題が日々起こります。
それに対応するのは他ならぬ現場の職員です。
彼らは自分の感情を抑えつつ、患者さんや対象者の不安、怒り、混乱、悩み等、負の感情を受け止めます。
彼らがストレスにさらされやすい環境にあるということを理解したうえで、それぞれの職員のタイプに応じた対話、受容、行動の具体化、フィードバックをするように心がけると、組織を組み立てるときもスムーズです。
戦略面ではもちろんですが、何より、職員とのコミュニケーションが楽になりますし、信頼関係を築くうえでも役立つことが多いです。
わたしは職員だけでなく、ご家族や高齢者、障がいをもった方々とお話する場面でもコーチングを活用させてもらっています。
Q:職員の場合は、想像がつくのですが、御家族や高齢者、障がいをもった方々と向き合う場合、通常のコーチングとは違うような気がします。どのようにされているのでしょうか?
わたしが対象となる方々とお話するときに最も意識しているのが、「声になっていない真のニーズの引き出し」です。
その方々は意識的・無意識的にかかわらず、我慢する、あきらめる、遠慮するという生活をしがちです。日頃がそうですから、専門職と話をする際に「最近、どうですか」と急に聞かれても上手く本心を伝えられない、とよく言います。
みなさんは「そこまでは結構です」「自分でやります」という言葉をつかいます。
しかし、実はまったく結構でなかったり、自分の限界を越えていたりする場合があるのです。逆に、できるのにできないと言ったり、過剰に依存している場合もあります。
聞いたことばだけを鵜呑みにせず、コーチングのスキルを駆使して相手の自己開示を促したり、問題点を明確にしたり、確認するという作業は、支援する側と支援される側が共通の目標を設定する上で、とても重要なことなのです。
Q:ヘルスコーチ・ジャパンが今後、福祉現場に貢献していくためには、どんなことをすればよいとお考えでしょうか。
2点あると思います。
1点目は職員に対するものです。
医療福祉現場の人間は基本的に「人の役にたちたい」と思い、また、そこにやりがいを感じています。回復がみられる、感謝される、承認されることはモチベーションの向上に大きく繋がります。
しかし、「できて当然・優しくて当然」という一般的なイメージが強いためか、その承認を受けにくい環境に置かれているのが現実です。定期的な承認と目標設定が行われることで、燃え尽きや離職を防止できるのではないかと思います。
2点目は支援される側の方に対するものです。
何かを失った、または失いつつある状態の方は未来に対して漠然とした、拭いきれない不安を抱えています。
その状態は、現在持っているものや未来を見失った状態であるともいえます。
「失ったと同時に得たものは何でしたか?」「そんな今のあなたを支えてくれているひとは誰ですか?」などコーチングならではの質問によって視界が開ける方がたくさんいるものと思います。
Q:これから先、どんなことをしたいですか?
医療福祉の現場にコーチングスキルを活用する職員が増えるような活動をしたいです。
一方で、この場では逆説的な意見になるかもしれませんが、コーチングに溺れすぎないように気をつけたいとも思っています。
どんな世界でも同じでしょうが、ひとつのスキルが万能なわけではありません。
しかし、組織を考えるとき、職員の相談にのったとき、ご家族を支援したときにコーチングの力が驚くほど有効にはたらいていることも事実です。
これからは、どのような場面でコーチングが効くのか、効かない場面では何が必要なのかということを見極めていきたいと思います。